2011年12月31日土曜日

【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(後編)

(^x^)こんにちは。MANIERAです。

横浜市は、山手(Yamate)地区の 7つの西洋館を保存し、無料で公開しています。
2010年の5月初旬に、集中的にこれらの西洋館を見てきたので、順番に紹介しています。


シリーズ最終回は、外交官の館(The Home of a Diplomat)の後編です。


【外交官の館とは】
明治政府の外交官 内田定槌(Sadatsuchi Uchida 1865-1942)が、
米国人建築家 J.M.ガーディナー(Gardiner 1857-1925)の設計により、
1910年に東京都渋谷区に建てた邸宅です。
横浜市が寄贈を受け、1997年に現在地に移築されました。







01
では玄関ホールを後にして、2階に上がってみましょう。






02
1階が客間などの接客を中心とした部屋に対し、2階は寝室など生活中心の造りになっています。

左端に小さくドアノブが見えていますが、ここは屋根裏部屋のトランクルームへの入り口で、
長期の洋行も多かった外交官の膨大な荷物をトランクに収めて置いていたそうです。
※ トランクルームは普段は非公開です。







03
階段の先に書斎がありました。年季の入った床板が印象的です。
窓の外の緑が心地よいL字形の部屋です。






04
書斎の机など家具は復元されたもののようです。
造り付けの書棚の中には、内田定槌の蔵書の一部が収められています。






05
書斎の南隣の部屋は、現在はセミナー室になっています。
元々は客用寝室で、控え室も付属しています。






06
こちらは2階の一番大きな部屋、主寝室です。
内田夫妻の寝室として使われていたもので、 
1階に比べて色調も明るくベランダも付属しています。






07
ベッドが小さくて可愛いですね。資料や聞き取りから復元したそうです。






08
スタンドはアール・デコ風です。






09
こちらの館には暖炉ではなく、暖炉型ストーブが各部屋に備え付けられていたようです。






10
浴室です。猫足のバスタブは復元された物のようです。
当時は井戸水をポンプでくみ上げ和館のガスボイラーから給湯されていました。
トイレは木製の便座とハイタンクを備えていたそうです。






11
シャワーヘッドもレトロですね。






12
主寝室に付属する八角形の小部屋(サンルーム)で、塔屋の2階部分になります。
陽子(Youko)夫人がプライベートルームとして使っていたそうです。
机は当時からの物で化粧台だったようです。






13
2階の照明は、少し変わった金具が付いていました。

今は結束バンドで留められているようですが、動滑車の付いた卵型の部分が錘で、
ランプの重さとバランスをとり、簡単にシェードを上下させる機構のように見えます。






14
窓から外を見るとイタリア庭園と町並みが見えました。
遠くの一番高いビルはランドマークタワーです。






15
廊下を進んでみましょう。






16
ドアやドアノブも歴史を感じさせます。
建物は解体時に材料ひとつひとつに番号を振って
元の部材を同じ位置に使って組み立てたそうです。







17
2階の展示室には様々な資料が展示されています。元は寝室だったようです。






18
内田邸で開催されたパーティーのメニューが展示されていました。
例えば、一番手前のメニューは以下のように書いてあります。
(カッコ内は翻訳機の助けを借りた適当翻訳です。^^;)


Diner du 15 janvier 1916 (1916年1月15日のディナー)

Consommé(コンソメ)
Homards aux huîtres(オイスター風味のオマール海老)
Selle d'agneau(ラムの背肉)
Aspic de Foie gras(フォアグラのゼリー)
Poulardes truffeés, salade(鶏とトリュフのサラダ)
Fonds d'artichauts aux tomates(アーティチョーク トマト添え?)
Glace à la vanille(バニラアイス)
Dessert(デザート)







19
ポプリの入った器もアール・ヌーボー風のレトロで良い感じですね。






20
この階段を下りると、旧和館への入り口ですが、左の階段室と右の物入れだけ残っていて、
この先は新館になっています。当時の和館の2階には畳敷きの令嬢室などがありました。






21
新館の2階部分です。眺望の良い通路になっています。






22
1階に下りると展示スペースや休憩スペースがあります。
旧和館の1階は台所、下男室、女中室、浴室、トイレなどがありました。






23
外に出ると、陽が傾いて閉館時間も迫ってきました。






24
ではそろそろ帰りましょう。



* * *




これで、横浜山手 7つの洋館シリーズは完結です。
(^x^)おしまい。






  関連記事

【横浜 山手】 7つの洋館 1. イギリス館  http://blog-maniera.blogspot.com/2010/08/maniera-yamate-5-british-house-yokohama.html
【横浜 山手】 7つの洋館 2. 山手111番館  http://blog-maniera.blogspot.com/2010/08/72-111.html
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【横浜 山手】 7つの洋館 4. 山手234番館  http://blog-maniera.blogspot.com/2011/04/74234.html
【横浜 山手】 7つの洋館 5.ベーリックホール(前編) http://blog-maniera.blogspot.com/2011/08/7-5.html
【横浜 山手】 7つの洋館 5.ベーリックホール(後編) http://blog-maniera.blogspot.com/2011/08/75.html
【横浜 山手】 7つの洋館 6. ブラフ18番館 http://blog-maniera.blogspot.com/2011/11/7-618.html
【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(前編) http://blog-maniera.blogspot.com/2011/12/77.html
【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(後編) この記事です。




2011年12月28日水曜日

【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(前編)


(^x^)こんにちは。MANIERAです。

横浜市は、山手(Yamate)地区の 7つの西洋館を保存し、無料で公開しています。
2010年の5月初旬に、集中的にこれらの西洋館を見てきたので、順番に紹介しています。

今回は、このシリーズ7番目の洋館、外交官の館(The Home of a Diplomat)の前編です。






01
JR根岸線の石川町駅のホームから丘の上を見上げると、
幾何学形の塔のような建物が見えます。
国の重要文化財に指定されている「外交官の館」です。






02
駅から坂を上って、山手イタリア山庭園に入ると、塔屋付きの館の全体が見えてきます。

元々は、明治政府の外交官 内田定槌(Sadatsuchi Uchida 1865-1942)が、
米国人建築家 J.M.ガーディナー(Gardiner 1857-1925)の設計により、
1910年に東京都渋谷区に建てた邸宅です。
横浜市が寄贈を受け、1997年に現在地に移築されました。






03
庭園は館より一段低く、石畳に幾何学的な植栽となっています。
この写真の右手は前回のブラフ18番館に続いています。






04
季節は5月上旬で、様々な花が咲いていました。






05
庭園の突き当りには噴水があり、水路が庭の中を伸びています。






06
建物の正面の方に行ってみましょう。 こちらには芝生と木々の庭になってます。
手前の ベニバナトチノキ(紅花栃の木)にはピンクの花が咲いていました。






07
外交官の館の正面です。建物中央が玄関になりますが、
現在は閉めきりで、こちらからは入れません。







08
木造2階建てで、屋根はスレート葺き、外壁は下見板張りです。
窓には鎧戸が付いています。

☆ 下見板張りとは、外壁の板を部分的に重ね合わせて鎧のようにしたもの。




09
なぜか、黄色い外壁の西洋館が和風の外壁とつながっていますが、
数メートルで和風の部分は途切れてしまいます。
写真07で、洋館の左端に一部瓦屋根が見える部分です。






10
これは元々、東京都渋谷区にあった時の、館の模型です。

実は、創建時は模型の透明アクリル部分に和式の館が付属していましたが、
1972年には配膳室や廊下を残し和館は取り壊されました。

写真09の和風の外壁が和館の残存部です。模型のアクリル部分との境に見える茶色い壁になります。
1997年に横浜に移築された時に、アクリルの部分に、「新館」が作られました。






11
かまぼこ型の屋根が、「新館」です。 新館には展示コーナーや、休憩コーナー、トイレがあります。
こちら側には半円形のオープンテラスのカフェもあって、外でお茶を飲む事も出来ます。

新館の反対側が、外交官の館への入り口になっているので、そろそろ入ってみましょう。






12
新館から和風の廊下を抜けると、広く重厚な玄関ホールに出ます。






13
玄関ホールの隣は食堂があります。

かなり大きな部屋で、当時は外交官として、多くのお客を招いたそうです。
赤いランプシェードやテーブル、椅子などは資料や聞き取りから復元したものです。
室内の家具は当時の配置どおりに置かれているそうです。






14
テーブルの上は、これから食事が始まりそうなセッティングがされていました。






15
窓のカーテンの留め紐も綺麗ですね。






16
食堂の隣は小客間です。 晩餐会の際に、食事の用意を待ったり、
食後のお茶にと使われていたそうです。
右奥の大客間とはスライドドアなどで仕切ることも出来るようです。






17
小客間を囲むようにL字状の部屋になっていて、サンルームとなっています。
庭側には鎧戸がなく、客間側には付いていますが、これはサンルームが
屋外として捉えられていたからとの事です。






18
L字のサンルームの2辺の交わる部分が多角形の部屋になっています。
外から見たときの塔の1階部分になっていて、ガラスで覆われ、
とても明るく眺めの良い部屋です。






19
窓の下の腰壁はスリット状になっていて、内側の格子戸を動かして開閉する
無双窓になっています。夏には足元からも風が入って涼しそうです。






20
小客間の隣は重厚な雰囲気の大客間です。
賓客を通す応接間として使われました。
写真奥は出窓になっています。






21
大客間の暖炉型ストーブの両脇にステンドグラスの小窓がありました。
室内は適度に薄暗いのでとても綺麗に見えます。

壁のランプは復元されたものですが、小窓は当初からあるものらしいです。
外から見ると、上げ下げ窓になっていました。上の窓は少し傾いでいます。






22
玄関の扉には内田家の家紋「丸に剣三つ柏」がデザインされています。
内側のホールのドアは、アールヌーボー風の鮮やかなステンドグラスになっています。






23
玄関脇に少女の大理石の彫像がありました。
首を傾げながら手紙を書いていて、とても可愛らしい表情でした。






24
玄関の脇は展示室になっていますが、当時は賓客のお供の人の控え室だったそうです。
暖炉のような所には今は塞がれていますが、元はストーブが入っていたようです。
窓から馬車廻しを見ることが出来ます。



* * *



次回は外交官の館の後編です。2階に上がってみます。


(^x^)続く。








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【横浜 山手】 7つの洋館 1. イギリス館  http://blog-maniera.blogspot.com/2010/08/maniera-yamate-5-british-house-yokohama.html
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【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(後編) http://blog-maniera.blogspot.com/2011/12/77_31.html





2011年11月27日日曜日

【横浜 山手】 7つの洋館 6.ブラフ18番館

(^x^)こんにちは。MANIERAです。

横浜市は、山手(Yamate)地区の 7つの西洋館を保存し、無料で公開しています。
2010年の5月初旬に、集中的にこれらの西洋館を見てきたので、順番に紹介しています。

今回は、ブラフ18番館(Bluff 18 Residence)です。





01
JR根岸線の石川町駅から坂を上ること数分、高台にある
ブラフ18番館の入り口にたどり着きました。






02
ブラフ18番館の敷地からの眺めです。

ブラフ(bluff)とは、絶壁とか断崖の意味なので、館の名前は、
現在の立地場所から付けられたのかもしれません。

写真中央の細長い屋根が石川町駅で、線路は真っ直ぐこちらに伸びてきて、
ブラフ18番館の真下を根岸線のトンネルが通っています。






03
オレンジのフランス瓦が鮮やかな ブラフ18番館の正面です。

元々は山手45-1番館で、1923年の関東大震災後に建てられた外国人住宅ですが、
戦後は山手教会の司祭館として使用されてきました。

所有者の都合による1991年の解体時に、横浜市が解体調査を実施、部材の寄付を受けて、
今の場所の山手イタリア山庭園に移築復元され、1993年から一般公開されています。






04
ブラフ18番館は、建築面積150平米の木造2階建で、モルタル吹き上げ
仕上げの白い壁に、緑色の窓と鎧戸が良く似合っています。






05
入り口を入ると、ブラフ18番館の隣に「付属棟」があり、ギャラリーとホールの
貸し出しスペースになっています。この日は書の展示が行われていました。






06
館内に模型がありました。右のかまぼこ型の長細い建物が付属棟です。

ブラフ18番館の本来の玄関は建物左のギリシャ風支柱のある部分ですが、
現在は、ブラフ18番館と付属棟の間の部分が入り口になっています。






07
靴を脱いでブラフ18番館に入ると、建物の中央に廊下があります。
インテリアも、白とグリーンがテーマカラーのようですね。






08
廊下の突き当りに、小さなピンクの花が飾ってありました。







09
廊下から右の部屋を見ると、ピアノのあるサロン(応接間)になっています。
丸いテーブルは復元されたカードテーブルとの事で、トランプするのに良さそうですね。






10
サロンの照明はアールヌーボー風で、植物をモチーフにした美しいデザインです。






11
「100年前のピアノ(洋琴)」と書かれた、古いピアノです。

ピアノの製造会社は、明治37年(1904年)東京で創業された「松本楽器合資会社」です。
横浜市港北区師岡町の村上邸で使用されていたものだそうです。






12
燭台のついたピアノは初めて見ました。金具も優美な形ですね。






13
サロンの隣、南側には、細長いサンルームがありました。
籐の寝椅子は昼寝するのに良さそうです。






14
サンルームの電灯です。ガラスのシェードが涼しげです。






15
サンルームを外から見たところです。右の大きな木は、札に大島桜と
書いてあったので、春にはとても良い眺めになりそうです。






16
サンルームから、サロンの隣のリビングルームに入ります。
ソファーやテーブル、キャビネット等の家具は復元された「横浜家具」です。

「横浜家具」とは、山手地区に隣接した元町界隈で明治初期から製造販売されてきた西洋家具の総称です。
当初は居留地の外国人向けでしたが、その後、日本の上流家庭やホテル、官庁などで
広く使われるようになり、現在も元町で数々の西洋家具が製作されています。






17
こちらはダイニングです。こちらの窓は台形にせり出した「ベイウィンドウ」になっています。
窓は列車のような上げ下げ式で、写真04 のように、外側から見ると鎧戸が付いています。

ちなみに、隣の厨房は、現在は事務室になっているので、見ることが出来ません。






18
階段を上がって2階に行ってみましょう。






19
階段に花が飾ってありました。






20
2階の談話室です。 奥のドアの外はバルコニーになっていて、その下は先程見たサンルームになっています。






21
各部屋の暖炉は、リビングに一つだけ残っていたマントルピースを複製して再現したものだそうです。






22
ダイニングの真上に位置する展示室です。棚に世界の民族人形が飾ってありました。






23
こちらの南アフリカとジンバブエの人形が、カラフルかつ独創的で、気に入りました。^^






24
展示室の向かいに閲覧室があります。本棚の資料を閲覧することが出来ます。






25
閲覧室の窓から外を見てみると、最初の写真01 の入り口が見えました。



* * *



ブラフ18番館は小さめでしたが、外も中も手入れが行き届き、
綺麗な花で飾られていて、大事に保存されている印象を受けました。


次回は、7つの洋館シリーズの完結編、「外交官の館」です。
(^x^)つづく。








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【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(前編) http://blog-maniera.blogspot.com/2011/12/77.html
【横浜 山手】 7つの洋館 7.外交官の館(後編) http://blog-maniera.blogspot.com/2011/12/77_31.html